1018日、ブロガーズフェスティバル2015というイベントに参加しました。名前の通り、ブロガーさんのお祭りです。

お祭りといっても単なる情報交換会や交流会ではなく、ブログに関する各分野に秀でた方が登壇され、それぞれ講義を繰り広げてくださるという、セミナー色を含むものです。その登壇者の方々がまぁ豪華!!垂涎ものです…。

 

ですが生まれてこのかた、フジロックをはじめとする音楽フェスにも、とにかく「フェス」と名のつくものに参加したことのない私。

しかも、ブロガーズフェスティバル。私はブログを書いていますし、読んでくださっている方はご存じのとおり、毎回つらつらと長く、愛情かけた文章を一つずつ生み出しているつもりです。でも、マネタイズもしていなければ、人気ブロガーというわけでもない。「ブロガー友達」のような存在もいません。

そして本業は、取材記事やコラムを書いて、メディアに寄稿して発信していただくこと。商業ライター/コラムニストです。

なんだか場違いのような気がして、参加を迷っていました。

 

 それでも結局参加してみることに決めたのは、

・仕事に対して最近個人に考えている課題のヒントが得られる気がし
・いつも読んでいるブロガーさんと直接話したい
・商業ライター/コラムニストと隣接するブロガーの世界を覗いてみたい。絶対発見があるから。
・そしてそれを自分のブログにも活かしたい
大きくこの4点です。

 各セッションの登壇者のお名前と話すテーマを見たとき、これはきっと得るものがある、

と思えました。


◇当日のセッション内容と感じたこと

内容の詳しいレビューは、おそらく他のブロガーさんがたくさん書かれていると思います。このブログでは、忠実に再現するというよりも私の印象に残った点を書きますので、「正確な内容をすべて知りたい」と思われる方は他のブログもチェックされることをお勧めします。また、聴くこととメモに集中していたので写真は一切ありません。文章ばかりで読みづらいと思いますが、ご了承ください…。

1セッション:朽木誠一郎さん「ライターとブロガーの違い」
一つめのセッションとしてはぴったり。LIGで編集長をされていた頃から、Twitterを通じて、ライティングスキルについての記事を拝読していました。転職されてからも、ブログや、お仕事の記事を拝読しては、とてもクリアな文章でわかりやすいな(そしてユーモアも素晴らしい)といつも感銘をうけてきました。

そんな方のセッションなので、もうこれはやっと生でお話が聴ける!と前から3列目(大学時代ではありえない)で拝聴。
 セッションの内容も、基本的ながら大切な、本質的なことに言及されていて、やはり腑に落ちます。大学の講義もこれくらいクリアだったらどんなによかったか

 

まず「ライター」というのは広義には包括概念であって、ブロガーも商業ライターもコラムニストも記者もそこに含まれるというお話でした。ただし、商業ライターは「他者の意見」を伝えるもので記者に近く、ブロガーは自分の意見を伝えるもので「コラムニスト」に近い、と。表題の答えを端的に示されたのが、ここかな、と思います。

この区別は私も日々感じていることで、取材記事やPR記事を書くときの自分の立ち位置と、コラム的文章を書くときの立ち位置は全く違うんです。その体感があったので、この解には深く深く頷きました。

 

また、「メディアとは、情報伝達におけるモビルスーツである。発信したいことをより速く、広く伝えるための手段。ただし、その力が強大なだけに、取り扱いに注意しなければいけない。」というお話も。これも納得です。強い手段であるからこそ、両刃の剣。真摯に、心を持ってつかわなければ誰かを傷つける可能性が多分にあるのです。
 普段から、あまり強い言葉は使わず、でも説得力がある文章を書かれる朽木さんらしい警告だなと感じました。
 最後に、ライターの魅力について「頭の中から生み出される文章というものが価値を生み出していく。それは素晴らしく夢がある。」と仰っていました。すべてのライターの心にしみる言葉だと思います。あと、「人の職業を悪く言うな 」も()


 セッション後、ご挨拶した際に、ちゃっかり講義に関係する私の個人的な迷いや疑問の話をしたところ、真摯に答えてくださいました。アドバイス、しっかり受け止めさせていただきます!




2セッション:Edge Rankのみなさん「ブログのネタを多様化させるための秘訣~ブロがーメルマガEdge Rankメンバーが語るオフラインでの活動~」

 

個性豊かな8名(お一人はアメリカからオンライン中継参加!)が、代わる代わる登壇されました。
東京の外から発信する方、
東京近郊にいるけどあえて地方に潜入取材にいって発信する方、
東京の中から発信する方、

それぞれの視点が面白い。
 皆さん共通して、ブログやネット上での活動と、それ以外(
オフライン)での活動をうまく結びつけていき、両者が相乗効果をうむという現象・効果を重視してらっしゃいました。ブログがきっかけでいろいろなチャンス(具体的には、TVやラジオへの出演、書籍の出版、町おこしへの参加、様々なイベントの実施など)が広がり、そのチャンスをつかんだ経験からまたブログのネタがうまれる……非常に良い循環の中にいらっしゃること、そしてもちろんそのために人一倍行動されていることが伝わってきます。
 

編集長の奥野さんは、「飲みにいくだけでも仕事につながったことありますよ」と何気なく話してらっしゃいましたが、それはその時点までの積み重ねと実力あってこそ。でもそれを、軽いタッチで気さくに話される人柄が、またブログにも反映されているなーと感じながら聴いていました。

そして「とにかく動こう、人に出会おう。」

これがこのセッションで一番強く押し出されたメッセージかな、と思います。ずーっとパソコンと向かい合っているのも良いけれど、「動く」ことでチャンスが見つかったり、それがブログにもいかされたり…。もちろん書くジャンルによって差はありますが、「リアルでの行動」の重要さに改めて気づかされたセッションでした。

 



3セッション:鳥井弘文さん、紫原明子さん、ファーレンハイトさん「これからの個人とブログとメディアのつながり」

 ブログをきっかけに、寄稿や連載、編集長やメディア運営など幅広くご活躍されているお三方の登壇です。一番聴きたかったセッションかもしれません。

 

セッションが始まってまず感じたのは、チームワークの抜群さかなりの打ち合わせをしてこられたんだろうなと伝わってくる、きちんとまとまったトークセッションである一方で、その場のオーディエンスの属性やニーズにあわせて柔軟に話すポイントをアレンジしようという姿勢にも、お三方の真面目さと、プロフェッショナルなサービス精神が表れていました。
  

セッションの中で特に勉強になった点を挙げていきます。

 

まず「連載や寄稿では読後感を大切にしている。」というお話。「高揚感を得てほしい。」「いい気分になってほしい。」などそれぞれ読後感をゴールとして設定して、そこから逆算して文章を書かれることもあるんだそうです。この考え方は自分が文章を書くとき明確に意識したことが無く、せいぜい「文章の雰囲気」や「文章を読んでの印象」どまりだったので、これからぜひ取り入れようと思いました。

 

また、ブログをきっかけに執筆の場を広げたいなら、一時的なバズは最初の知られるためのステップとしては必要かも。ゲスい話や、突飛な教訓もたまには必要。でも長く寄稿や連載をするなら、それをずっと続けていくのではだめ。『結局自分が何を伝えたいか』のゴールを持っておくことが肝心。とのお話も。
言い換えると、「下剋上のち、天下統一。いつまでも過激なことや突飛もないことを書くのではない。下剋上がすんだら、いかに天下統一して泰平の世を作り出すかというようなビジョンが必要。」と、特に鳥井さん、紫原さんが強調されていました。
 ファーレンハイトさんも、「かつてはメディア側もとにかくバズらせて下さい、ホットエントリー入りさせてください、という依頼をしてくることが多かったが、最近は減ってきた。それ以外の価値が、認められつつある」と。

このお話には、深く聴き入った人が多かったのではないかと個人的に思っています。

「バズる」という現象の是非についてはもう賛否両論あり過ぎるくらいですが、激しく肯定するでも否定するでもなく、バズにも良い面があるが、それが最終目的ではないんだ、乱世で名を上げるには有効だがそのままでは良い世の中を長続きさせることにはならない、と冷静かつニュートラルに語られる言葉は非常に建設的でした。しかもそれを実践して活躍してらっしゃる方々の言葉ですから、説得力も十二分です。


 そして、ファーレンハイトさんがおっしゃったジャンルにおけるポジション取りの重要さ」も、なるほどと納得しました。いくらレッドオーシャンな分野で書いていても、その分野で10番目くらいまでに名前が挙がる存在になっていれば、寄稿も連載も依頼がきやすい、と。たしかにその通りです。

 私自身がとても共感したのは、「エッセイは身を削る。体験の蓄積が必要。」という紫原さんの言葉です。紫原さんは、「寄稿や連載の場合、エッセイには実体験・エピソードと、教訓・思いの両方が必要」と話されていました。紫原さんと私では書いている文章の量もレベルも全く違いますが、私も「エッセイ」的な文章を書くときは自然とその両者を盛り込んでいます。(このブログで【エッセイ】とついている記事もほぼそうです。)

私でさえも、実体験をエピソードとして書き、そこから得た教訓や考えを文章化するときは、身を削りながら書いている感覚になり、消耗します。また、そういった文章は自分の人生体験のストックを一つずつ引き出して書いているようなものなので、新しくストックをどんどん作らないといけない。ストック無くなったらどうしよう…という思いにいつも駆られます。
 そんなこと思っているのは私だけなのかなぁと思っていたら、なんと今をときめくエッセイストも同じことを感じてらっしゃるとは!連載をたくさん抱えてらっしゃるぶん、そのプレッシャーはどれほどか想像がつきません…。私も感性を磨き、体験をどんどん増やしていこうと改めて思った瞬間でした。


……あと個人的な、かつとても薄っぺらい感想ですがファーレンハイトさんと鳥井さん、それぞれタイプは違えどイケメン過ぎです二人に囲まれる紫原さんがうらやましい……。でも、紅一点の紫原さんの緊張気味の笑顔と柔らかさとが、セッションをあったかく華やかにしていました。

3人とも書かれる文章のジャンルも、文体も、煽るか煽らないかという点でもそれぞれ違います。でも、その違いをリスペクトしあいながら、本質的なところでは考え方が一致しているんだなぁという印象が強かったです。

 本当に勉強になるセッションを拝聴できました。

 

 

3セッションともどれも聴きごたえがあり、笑いどころもあり、大変有意義な時間でした。

 

 

◇ライトニングトーク、懇親会

その後のライトニングトーク(事前に応募したブロガーさんが5分間で自分のブログについて自由にプレゼンをする。聴衆による投票有り。)で登壇された皆さんもそれぞれに素晴らしく、特に優勝された宮原さんの「ブログでは文章が読まれているのではない、自分自身が読まれている。」というメッセージは真理をついているなぁと、一票入れさせていただきました。

 

懇親会では、日頃ブログを拝読しているブロガーさんや、初めて出会う方ともご挨拶でき、人見知りの私にはハードル高めの時間でしたが(笑)本当に参加してよかったです。

 

 

◇全体を通じて

「専業ブロガーとして生計をたてたい」とは思っていない私でも、ブロガーズフェスティバルで学ぶことは山ほどありましたし、何より参加しなければ知ることが出来なかった世界を覗くことが出来ました。日頃自分が生きている世界と、言ってみれば「隣接している」分野ですから、改めて自分の立ち位置やこれからも方向性を客観視する機会にもなります。先輩方に相談にのっていただく機会も得られました。目から鱗が落ちるような貴重なアドバイスに感動です。

このような素晴らしい場を提供してくださった主催者やスタッフの皆様、ツイッターで「行こうかなぁ、場違いかなぁ。」とぼやいていた私に「ぜひ!」と背中を押してくださった紫原さんとファーレンハイトさん、事前にもろもろ親切なご案内を下さった実行委員長の奥野さん、登壇者の皆様、お話しさせていただいた皆様に、心より御礼申し上げます。

 

 

そして、この長い長い記事(5000字強)を最後まで読んでくださったあなたにも、感謝申し上げます!

 

 

(追記)会場でスポンサー企業様から、「レビュー記事を書いてくれるブロガーさんにはチーズケーキを提供します」という魅力的すぎる提案があり、当然「書きます!」と喜び勇んでチーズケーキを持って帰った私。近いうちにレビューします☆

#ブロフェス2015