センター試験まで100日を切りました。

教室の黒板の隅に「センターまであと●●日!」なんてカウントダウンが書かれる頃です。

受験生の皆さん、勉強のはかどり具合はどうですか?

 

100日を切ったと言われると焦る。焦るけど、正直そろそろ受験勉強も疲れてきた。どうやって本番までモチベーション維持しよう?と憂鬱な気分になる人も多いのでは。

 

本来なら、

「いますぐブラウザを閉じて教科書を開け」

と言いたいところですが、

私も経験者。気持ちはわかります。

 

国立二次試験までのあと4か月、モチベーションを保つのに少しは役に立つかもしれないことを、自分の経験から紹介します。休憩がてら読んでみてください。
 

 

◇とにかく妄想する

妄想などせずとも淡々と勉強に邁進できるタイプの人は問題ないのですが、私はそうでもありませんでした。もう一刻も早く受験勉強なぞやめてしまいたかったです。

そんな怠惰な自分のモチベーションをなんとかキープするために、定期的に妄想していました。

志望校から合格通知が届いた瞬間の喜びを。
そして、春から花の大都会東京で、毎日好きな格好をしてキャンパスライフを送る自分の姿を

厳しい校則や親の監視から解放されて、友達や恋人と自由に大学生活を謳歌する自分の理想の姿を思い描きまくります。

すると、心の底から「そうなりたい!」「なんてハッピーなんだ!」という感情がわき出てきて、「そのためなら頑張るか。」となんとか机にむかえたんです。なんだかスピリチュアルっぽくてあやしいと思うかもしれませんが、案外効果あります。お試しを。

 

あとは、遊びたい衝動に駆られたら「こんな田舎で今遊ぶより、来年東京で遊ぶんだ」と自分に言い聞かせてましたね。ちょっとひねくれた考え方かもしれませんが、これも効きました。

 



はい、この時点で「あと
4か月頑張れる~!!」と思えた人、ブラウザを閉じて勉強に戻ってください。
 

「え~、なんか今一つ。そんなんじゃ納得できない。」という人、ちょっと長くなりますが続きを読んでみてくださいね。

 

 

◇「受験勉強は何の役にも立たない」という考えを捨てる

よく世間で言われますね。「受験勉強なんてその後の人生の役に立たない。」「詰め込み暗記型の日本の入試制度は間違っている。」

これらは、あたっている部分もあれば、そうでない部分もあります。でも受験勉強をしている当事者からすれば、「それ役に立たないよ。」と言われることを毎日必死にやるってつらいですよね。

 

受験勉強は人生の役に立ちます。

いいですか、大切なことなので二度言います。

受験勉強は人生の役に立ちます。

 

気休めではありません。

どういうふうに役に立つのか、個人的見解を述べていきます。

 


☆自分の到達するべき地点と現状とのギャップを把握し、解決手段を見つける力が身につく

受験生にとっては、模試の成績が志望校の偏差値に達すること、センター試験で目標点数がとれること、が「自分の到達するべき地点」です。

そして、「現状」は、いまの自分の偏差値、点数です。

この2つの間に存在するギャップを埋めていく作業が、皆さんが毎日する勉強です。

つまり、「自分の目標と現状との間にどのくらいギャップがあり、そのギャップを埋めるにはどういう手段をとればいいのか」を日々考え、実践する。これが受験勉強です。

 

この作業は、大学に入っても、卒業して就職しても、一生続きます。そして社会に出ると、「到達すべき地点」と「現状」、そしてその間のギャップを把握すること自体が難しい課題にたくさん直面します。点数や偏差値などで分かりやすく数値化されていることは少ないからです。自分でそれらを見つけだし、解決する手段を見つけ出さなければいけません。

 

偏差値や点数でそれを把握できる受験勉強は、いわば「社会人生活のリハーサル」(簡易版)です。いまはそんな風に思えないかもしれませんが、きっちり考えて受験生生活を送れば、将来「あぁ、あのときやったことの応用版か。」と思えるシーンが出てきます。

 

 

☆やるべきことに優先順位をつける力が身につく

ギャップを把握しました、そしてそれを解消するための手段も考えました。あとは実践するのみです。

ただ、ここで受験生を苦しめるのが「やることが多すぎてどこからやっていいか分からない。」という問題。

科目はたくさんありますから、悩むのは仕方ないと思います。私も、英・数・国・生物・日本史・世界史・政治経済を勉強していて、生物と政治経済以外の5科目は二次試験の対策までしなければいけないという鬼のように広い「テスト範囲」に気が遠くなる毎日でした。

でも気が遠くなっていても勉強は進まず、とにかくやるしかないわけです。かたっぱしから片づけていくのもありですが、やっぱり「優先順位」をつけるのは大切です。

志望校の受験においてキーとなる科目に重点を置くのか、それともいま自分の弱点となっている科目の克服を優先するのか、センター試験までは基礎の徹底に力を注ぐのか。こればかりは人によって千差万別ですので、自分の状況を冷静に判断して、優先順位をつけていってください。自分一人では難しい場合は、学校の先生でも塾の先生でも、自分のことをよく理解してくれていて信頼できる人に相談するのも、客観的な意見がもらえていいと思います。

 

そしてこの作業も、受験が終わってもずっと使うスキルです。大学の試験、(受ける人は)国家試験、就職活動、社会人になってからの仕事、すべてにおいて「優先順位をつける」ことは不可欠です。よほど特殊な仕事につかない限り、様々なことを並行してやる状況(いわゆるマルチタスク)に見舞われる日々がほとんどですから、自分で優先順位をつけて、スケジュールを組んで、それぞれの納期までに終わらせなければいけません。

 

ここでもまた、受験勉強は長い社会人人生のリハーサルの役目を果たします。

 

 

☆知識を使って「思考する」力が身につく

「受験勉強は暗記だけ」と思っている人、いませんか??というか、そうやって声高に主張する大人が多いですよね。

たしかに、受験勉強に暗記は不可欠です。それは仕方ありません。英語は単語や文法を覚えなければ文章を読めないし、歴史も覚えないと始まらないし、化学や物理だって基本の法則をおぼえないと始まりません。

ですが、「暗記だけ」ではないのです。の先に必ず、その知識を使って「思考する」段階があります。

 

理系科目はそれが分かりやすいです。数学、化学、物理は基本の法則や公式を覚えたら、それを使って具体的な問題をどんどん解いていきますし、生物は多少暗記事項が多めですが、それでも一定程度まで知識を蓄えたら、それをつかって思考する応用の段階に入ります。

 

英語もしかり。最初は、何年もかけて何千語も単語を覚え、構文を覚え、無味乾燥に感じるかもしれません。でもその段階をこえれば、その知識を使って文章を書き、長文を読み、要約したり論旨に合う接続詞を問われたりと、英語を操って「考える」段階にきます。

 

一番ピンとこないのが歴史でしょう。日本史も世界史も、ひたすら年表と教科書とにらめっこして人物名や出来事の名前を覚えていくので、「何の意味があるんだ…。」と思うのも

無理有りません。それに、一部難関私立大が出題するような、重箱の隅をつつくような知識問題に対応しようとすると、かなり細かく覚える必要があります…。(この点については、暗記偏重といわれるのも一理あるかなと感じます) 

ただ、これは教える先生の腕によるところも大きいのですが、歴史は覚えるだけでなく「理解する」科目です。日本史であれば「なぜその人はこういうことをしたのか。」「なぜこの時代の経済はこう変化したのか。」「この時代の政治と文化の関係はどうなっているのか。」

世界史であれば、「この国の動きが、同時代のあちらの国にこう影響した。」「この世紀は、世界全体としてこういう流れが起こっていた。」など。

生きていれば分かりますが、人間世界に、「突然わけもなく起こる出来事」はそうそうありません。いろんな要素が相互に作用しあって影響を及ぼしあいながら、日々歴史というものを作っていっています。教科書に書いてあることも、すべてその一部です。歴史とは、個々の出来事も大事ですが、その裏にある「流れ」や「因果関係」をひもといたり、考え出していく科目です。知識は、あくまでもその前提にすぎません。

 

批判を恐れずに言えば、「受験は暗記がすべてである」という人は、受験勉強をそこそこにはこなしたものの「思考する」段階までたどりつかなかった人かもしれません。

皆が皆、「思考する」段階にたどり着く必要もありません。ですが、暗記は決して受験勉強のすべてではなく、その先には別のフェーズが存在することを意識してください。できればそこまで行こうと思ってみてください。意識するだけでも、暗記作業のはかどり方が違います。

 

 

☆目標達成に向けてとにかく「努力する経験」を得られる

義務教育を終えて、高校に進学し、そのまま大学受験しようという学生さんにとっては、おそらく受験がこれまでで最大の挑戦ではないでしょうか。

もちろん、中学を出て一度就職して、高卒認定試験を受けて大学受験する人や、高校を出て就職したのち大学を受験する人はすでに仕事で様々な経験を積んでいるでしょうし、部活にとてつもなく打ち込んできて大きな目標を達成した経験のある人など、いろいろなタイプがいるでしょうから一概には言えません。

ですが、若いうちに、「目標を掲げて年単位で努力して結果を受け入れる」という経験をしておくことは、とても貴重です。結果的に、合格する人もいれば不合格になる人もいます。合格して努力の達成感を味わえるにこしたことはありませんが、たとえ不合格であっても、必死に努力した事実は変わりませんし、落胆から持ち直す力(レジリエンス)を身に着けるチャンスです。

「努力しきった」という経験は宝です。というか、年単位で努力を継続することが一つのスキルです。ついつい楽したくなるのが人間ですからね。

 

このスキルも、必ず人生の役に立ちます。努力しなくても生きられる道は世の名におそらく存在しますが、努力しなければ見えない景色も間違いなくあるからです。

 

 


「受験勉強は人生の役に立ちます。」と言った根拠、納得していただけましたでしょうか?受験で得た知識そのものがお金を生み出すことはそうないかもしれません。徳川
15代将軍の名前を全部いえたところで就職試験に有利になるとも思えません。でも、それらの勉強を通じて身につくことは、人生の役に立つのです。不安にならず、腐らず、目の前のことを淡々と進めてください。

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ここまで、長々と受験生へのメッセージを述べてきましたが、少しは役に立ちそうでしょうか?

4500字も読んでいただいたわけですから、役にたってほしい、と強く願っています。もし身近に受験生がいらして、タイトルにあるような愚痴をこぼしていたら、さりげなくここに書いてあることを話してあげてみてください。説経臭くならないように、あくまでもさりげなく。

 

朝晩の冷え込みもきつくなってきた今日この頃、インフルエンザも流行りますし、体調管理には気を付けてくださいね。予防接種もお忘れなく!