仕事やバレンタインでバタバタしていたら、気がつけば国立大学2次試験まであと数日!

うわー受験生、いま最後の頑張り時だな。
てか私立はもう合格発表出てるとこもあるよね。

と、自分の時を思い出しながらいろいろ考えていた。

受験生に何か言えるとしたら、
「最後の最後まで気持ちの糸を緩めないで。」
これに尽きると思う。

実力不足でダメだったなら、まぁ仕方ない。
でも気持ちの糸が緩んで詰めが甘くなるのは、後から振り返ってどうだろう?
「あのとき本気出してなかっただけだし」みたいなカッコ悪い言い訳にしかならないんじゃないかと思う。


こんな風に思うのは、ほかでもない私自身が、2次試験前に気持ちの糸を緩めてしまいそうになったからだ。
いや、緩めてしまいそう、じゃないな、緩めました。

あ、もし今これを受験生が読んでたら、勉強に戻ってください。受験を乗り切る秘訣みたいなことは書いてありません。多分。


●第二志望、第三志望に合格してちょっと舞いあがった2月上旬


国立の受験勉強で手一杯だった私は、私立は全部センター利用受験にした。
1校は、センター試験+内申+面接
1校は、センター試験+小論文

どっちも東京の大学だったので、面接試験と小論文試験のために上京した。
面接試験で、昨年安保問題で活躍されていた憲法学者の先生にあたって、「法とは何か」みたいな問答で詰められ、山場を越えたあたりで号泣するという苦い思い出もできたけれど、今となっては笑い話だ。
(先生も泣いている私を前に、「こんな若い娘泣かせるなんて、よっぽどいい男か悪い男かどっちかだなぁ!」と笑ってらしたw)

そんなことがありつつも2校とも合格でき、面接で号泣した方の大学に入学金を入れてもらったので、ひとまず春からの進路が確保できた。

やった……。春から大学生決定だ!東京だ!

と思ったら、気が抜けた。
というより、ちょっと浮かれた。
まだ本命の国立2次がまってるのに。


浮かれ感は、思春期の女の子らしい形であらわれた。
同じ塾で仲良しだった他校の男子と、なんだか良い感じになってしまったのだ。
彼は第一志望の私立大学に合格を決めて、心から晴れ晴れしていた。うん、彼が舞い上がるのはしょうがない。
でも私は本命が残ってる。

それなのに、
自習室を抜け出して河原でくっついておやつを食べたり、えんえんと東京ライフについて語ったり、微妙な「友達以上だけど名前のつかない関係」のドキドキ感に浮かれていた。

当然、勉強はテキトーになる。


●気合いを入れ直すキッカケになった、ある先生のひとこと

そんな状態の頃、それでもひとかけらは理性が残っていて、学校に勉強しに行った。
登校の義務はもう無かったのだけど、先生にいろいろ添削してもらえるし、質問もできるし、何より空き教室で静かに勉強するのが好きだった。

数日ぶりの構内を歩いていると、もう定年退職して用務員に転身した先生にバッタリあった。

「吉原さん、○○大と○○大、受かったんだってね」
「はい」
「いくの?」
「えーっと、○○大に入学金入れました」
「そう……。でも、勿体無いよ。

……浮ついていた頭をガツーンと殴られた気がした。

勿体無い。
この一言には物凄いパワーがあった。
そっか、そんなに買ってくれてるのか。

その言葉を噛み締めてるうちに、いろいろな思いが湧いてきた。
「私がこの一年の受験勉強の間、目指してたところはどこ?」
「この数週間の手抜きで本命に落ちたら、一生後悔するよね」
「勿体無い、って言ってもらえるほどの実力があるか分からないけど、あると信じてもっと上を目指そう」
そして1番私を強く突き動かしたモチベーションが、これ。
「模試で合格圏内にいたのに落ちたら、『吉原は私立に受かって気が抜けて落ちた』って職員室中で言われる。それは死んでも嫌だ。」

なんてヨコシマな……!醜い……!

でもいいのだ、それで気合が入り直るなら。


その後、良い感じになった彼と話し合った。
「なんかさ、うちらさ、浮かれてたよね」
「うん、浮かれてた。お前、こんなことしてる場合じゃねーよ。とりあえず絶対受かれ、国立!」
「うん、私、いくよ」

乙女心にフタ、完了。


最後は意地

それからの数週間は、実はあまり鮮明には覚えていない。
淡々と学校にいって、先生や友達と青本やったり、苦手分野の最終確認したりしてたんだと思う。
とにかく、第二志望校に受かったせいで本命に落ちたとは言われたくない一心で粘っていた気がする。歪んでるけど、受験勉強も終盤になるとモチベーションを保つのが一苦労だ。もはや気合入るならなんでもよかった。


2次試験当日は吐いたりなんだりパプニングもあったけど、なんとか乗り切った。

合格発表当日も、後期試験のために学校に勉強しにいった。家で郵便待ってるのも落ち着かないし……。
午後、帰りの駅から自宅マンションに向かって歩いてたら、なんかマンションの方向から叫んでる声が聞こえた。
「???」
と思ってそっちを見ると、

うちの母が叫んでた。「ゆーり〜〜!」
なんか手にピラピラ白いの持ってる。

通ったんだ!!!(でもお母さん、先にあけて落ちてたらどうするつもりだったの?)
ダッシュで帰って合格通知を隅から隅まで読んで、合格を確認して、喜びながらちょっと泣いた。



地方の平凡な女子高校生の受験物語。

傍目には淡々と勉強してスルッと合格したように見えたかもしれないけど、
本人の中では、気の緩みとか浮つきとか怠け心とか、そういうものとの闘いだった。

最後の最後、大事なところで浮ついた私を引き戻してくれた先生の言葉には、今でも感謝している。

適度な緊張感とモチベーションの維持。受験に限らず、長いスパンで頑張らなきゃいけないことを抱えているときは、いつもそれが課題になる。
人間(私だけ?)、最後の最後で気が緩みそうになるけど、結果はどうあれ後悔しないためには、“詰め”が肝心だ。
モチベーションの中身は、ヨコシマでもいいと思う。

あと、適度な休養も忘れずに。

がんばれ受験生!