前回はこちら↓
付き合って3週間で結婚を決めるまで~その④~
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丸ビルをあとにして和田倉噴水公園へ。
この間、ずっと考えていたことがありました。
夫氏と話していると、楽しいし、テンポも話題も価値観も合うし、彼も楽しんでいるのが伝わってきます。
でもいまひとつ、がっと距離をつめてくる感じがないのです。
試しにこちらから五センチくらいつめてみると、五センチ離れていくような。笑
なんだろう、このつかみどころのない感じは…。とちょっと混乱していました。
公園をひとしきりうろうろして、高台から景色を眺め、ベンチに座っても、きっちり15㎝離れて座る夫氏。
うーん、人間としては好かれていても、やっぱり女としては全く見られてないのかな。泣
でも今日が終わったら次いつ会えるかわからないし、
なんといっても香川だし、
そしてこんないい人がいつまでもフリーとは思えないし!
そこらじゅうの女子が狙うよ!
(繰り返しになりますが、夫は特別イケメンだとかモテるとかそういうわけじゃありません。ただ、恋する女子はそう思ってしまうのです。怖いですね。)
よしここは、危険すぎる両刃の剣的武器を使うしかない!!
そう思った私は、バッグのなかに忍ばせていた小さな包みを取り出しました。
「これね、2週間早いけど、チョコ。よかったら食べて。」
そう、その日は1月末。バレンタインまであと2週間もあります。
なのにチョコ!お世話になってるわけでもないのにチョコ!
…お、重い。。
「えっ、まじで!?
ありがとう! 開けていい? 」
と、驚きつつも包みを開ける夫氏。
「ん?これ、もしかして手作り?」
「うん、、美味しくなかったらごめん!」
と照れ笑いする私。
…いや、照れてる場合じゃない。重すぎる!!!
地球より重い!!!
どこの女が、同僚でも彼氏でもない男性に、バレンタイン2週間前からチョコを手作りする!?
キモいよ私…。
でもこれは賭けだったんです。
失敗したら完全自滅の両刃の剣ですが、飛び道具を使わないと全く進まない気がして。
救われたのは、「食べていい?」と、夫氏がその場で半分食べてくれたこと。
そして「うまい…!」と心底美味しそうに言ってくれたこと。
もう危険兵器を使ってしまったので半ば「なるようになれ」という心境になり、すっきりした私(笑)
そのあとまた丸ビルに戻って、新幹線の時間までお茶をしながら、またひたすら喋ってました。
楽しい時間はあっという間。
新幹線で、夫氏はまた香川へ舞い戻ります。
私は都内の自宅へ。
帰り道、唯一夫氏への気持ちを打ち明けていた女友達にメールしました。
「Yちゃん、ヤバイ。私完全に、落ちた。」
何事かと返信をくれた友人ですが、ことの顛末を説明すると、
「まぁ彼女と別れたのを報告されて、そのうえで誘われたわけだから割りといいんじゃない?
しかし、チョコは思いきったねw」
ですよね…。
ずーん…。
しかもタチの悪いことに、その半日のデートで、私はさらに夫氏に惚れ込んでしまっていました。やっぱりいいなぁ、と…。
次はいつ会えるんだろう、これからどういう関係になるかなぁ、と何時間もぐるぐる考えていたら、
メール!!
「いま帰りつきました!新幹線の中でチョコ全部食べたけど、ほんと美味しかったよ。これでまた明日から頑張れる。ありがとう!吉原さんも仕事大変なこと多いだろうけど、讃岐の空の下から応援してるよ~!今日は楽しかった!」
…わからん(・∀・)
読めない人だ。
で、翌日から日常再開。
もうメールは来なくなるかもな、と覚悟していたら、
いつも通りくる!
このころにはお互い一日一通ずつが日課になっていました。
よかった、ドン引きされてない…。と、心底ほっとしたものの
特に増えもしないし内容もいままでどおり(笑)
距離は縮まらなかったのか!?
と、チョコの破壊力の意外な小ささに面食らった26歳の私でした。
そこからも何の変化ない日々が続き、じーりじーりと焦らされます。
でも、メールは途切れません。
今日は職場でこんなことがあったとか、お昼は何を食べたかとか、テレビや音楽の話、友達の話…。ほんとに他愛もない内容なんですが、もはや私の生活の一部になっていました。
毎日のエネルギー源。
なので、踏み込みたい気はするけど、下手に踏み込んでいまの関係を壊すのも怖い。
それなら今のままでも…
そんなふうにモヤモヤする毎日を一月半過ごしたら、
あの日がやってきました。
3.11東日本大震災です。
この日を境に、私たちの関係も不思議な経緯を辿ることになるのですが…
それはまた、べつの日に。