アラサーライター吉原由梨の 「ようやく大人 まだまだ女」

フリーライター/コラムニスト、吉原由梨のブログです。 Webサイトを中心に執筆しています。 都内の大学法学部卒業後、 ITメーカーOL→ 研究機関秘書職→ 専業主婦→ フリーライター兼主婦 日々感じること、ふとしたことからの気づきを綴っています。恋愛と結婚を含む男女のパートナーシップ、人間関係、心身の健康、家庭と仕事、グルメや読書の話など。美味しいもの、マッサージ、ふなっしー大好き。 Twitter:@yuriyoshihara こちらもお気軽に。

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夫婦

「大きくなったらパパと結婚するの!」
円満な家庭の象徴のようなこのセリフを、私は一度も言ったことがありません。
思ったこともありません。
むしろ物心ついてから結婚するまでの約20年間、
「父親とは違うタイプの人と結婚しよう。」と心に決めていました。モラハラの連鎖をぶった切るために。

モラハラ夫である父のもとで育つ

私の父は、モラハラ夫でした。日常的な肉体的暴力は無いものの、激しい男尊女卑、母へのキツい物言いはあたりまえ。さらに一旦怒りのスイッチが入ったときの言葉の暴力は凄まじく、子供の目の前で手を上げることもありました。
私は小さい頃から感受性が強く、周りの大人の発する空気に敏感な子供だったため、いつもすぐに状況を察してしまい、母の様子を心配し、父の機嫌をうかがい、緊張しながら空気を取り持とうと明るく振る舞った記憶があります。

父は、どうしようもない人格破綻者だったわけではありません。 
仕事には人一倍情熱を傾け、子供には愛情を注いでくれました。
普段は超のつく倹約家でしたが教育にはお金を惜しまない人で、習い事は沢山させてもらったし、中学から受験して私立に通いました。バレエの舞台やミュージカル公演、アイススケートのショーなど、文化的な場所に連れて行ってくれた写真もたくさん残っています。大学受験のときには、第二志望の私立大にも入学金をいれてもらい、本命の国立の入試は「前日が雪で欠航になったらいけないから」と東京に前々日入り。4泊5日の旅でした。
良い思い出も、感謝している面もたくさんあります。

でも、夫としての父は、どうしても好きになれない。家の中で、誰かが我慢し、誰かが緊張して過ごすような家庭はまっぴらだ。

■夫婦間のモラハラは、子の恋愛観・結婚観に影響を与えるという説

大学生になって「夫婦間のモラハラを見て育った娘は、モラハラ夫を選んでしまう」という説を初めて知った時は恐怖で固まりました。「母親の『自分さえ我慢すれば』という考え方を、娘もまたしてしまう。」と。
また同様に、「モラハラを見て育った息子は、モラハラ夫になりやすい。」

モラハラの連鎖……それについて思い当たる節があったのです。
母の父、父の父、つまり私の二人の祖父は、両親の昔話を聞く限りでは、モラハラ夫でした。古い時代はどこの家庭もたいてい父親の立場が強いものですが、おそらくその範囲をこえた肉体的・精神的暴力があったようです。
……見事に、私の父も母もこの連鎖に巻き込まれてるじゃないか。メソッド通りじゃないか。

恐ろしい事実に気づいてしまい、自分はどうなるんだと憂いたのを、はっきりと覚えています。

そして、モラハラの連鎖について思い当たったことがもう一つ。
ある日、初めて父が、子供たちの前で母を激しく罵倒し、手を上げたとき。直後に母は私たち姉弟を連れて出かけて、話して聞かせました。「今日のことはね、びっくりしたと思うけど、お父さんが一方的に悪いんじゃないの。夫婦は長く暮らしていると喧嘩することもあって、そういうのを子供たちが(年齢的に)そろそろ知れたのは、良いことじゃないかと思うのよ。だから大丈夫。」と。
今にして思えば、そのときの母の心の中には、「まだ幼い子供たちの心に傷を作りたくない」という思いの他に、「モラハラの連鎖を断ち切りたい」という思いがあったように感じます。
だから、「これはモラハラ(当時はそんな言葉使いませんでしたが)じゃなくて、夫婦喧嘩なんだよ」と言い聞かせたんだと。

母には、自分がモラハラの連鎖に巻き込まれているという自覚がありました。
後々、聞いた話です。

■私の代で完全にぶった切るべく、慎重に相手を選ぶ。

母の願いでもあるモラハラ連鎖の断ち切り。
私の代で完全にぶった切ってやると、心に決めました。
私は見事に母の気質を受け継ぎ、実家では「自分が我慢して平和なら。」と思う娘に育ちました。
その自覚があるからこそ、自分が選んで作れる新しい家庭は、そこに属するメンバー全員が人格を尊重され、考えを自由に口に出来て、誰の顔色もうかがわずにリラックスして生きられる、そんな空間にしようと誓ったのです。
そしてそのためには、私のことを、アクセサリーでもなく、女中でもなく、性欲のはけ口でもなく、自尊心を保つための自分より劣った存在でもなく、人格をもった人間としてその人格と尊厳を認めてくれる人を伴侶にしようと、固く固く決心しました。

具体的に、どういう点に注意を払ったかを挙げておきます。

・彼の両親(とくに父親)をじっくり観察する
モラハラを見て育っていなければ、ひとつ安心です。

・実力以上の虚栄心をもっていないか
そういう男性は得てして社会で自意識ほどには認められず、その悔しさや憤りを家庭に持ち込みます。

・自信満々に自分の価値観ばかりを語らないか
家庭では絶対専制君主として君臨します。自分=ルールです。家臣の意見や価値観などどうでもよく、逆らえば罰します。

・必要以上のダメ出しをしないか
恋人にやたら細かいダメ出しをする男性は、モラハラ夫予備軍。「だから君はダメなんだ」なんて言い出したら、さっさと逃げ出すのが得策です。

・過剰な束縛をしないか
恋人に「他の男と話すな」「どこにいるか全て報告しろ」「友達と会うより自分を優先しろ」などと過剰な束縛をする男性は、恋人を所有物と捉えているので、対等な関係は築けません。
また、恋人から自分以外の交友関係をどんどん奪い、最終的に恋人が自分にしか頼れないように仕向けます。

・「女の子は何も分からないくらいが可愛い」と思っていないか
恋人を人格のある対等な人間と見ていません。愛玩動物扱いです。結婚後、妻が意見や口ごたえをしようものなら「どうせ何も分からないだろう。俺の言うとおりにしてればいいんだ」と言い出します。

・愛情が条件付きではないか
「可愛いから好き」「若いから好き」「尽くしてくれるから好き」条件付き愛情は危険です。恋人そのものでなく、その人から得られるメリットを愛してるから。
年を取って、見た目が崩れたら?病気や不慮の事故で、妻がそれまでほどの働きを見せられなくなったら?
きっと彼は妻に無関心になり、「足手まとい」扱いし、外に女を作ります。

・やたらと人を見下さないか
友人や同僚、周囲の人を何かにつけて見下す男性。彼らの根本思想は「自分以外はバカ。」その思想は結婚後の妻への目線に直結します。

・キレると手がつけられなくならないか
怒ることは人間誰でもありますが、問題は怒り方。人が変わったように暴れたり、人に当たり散らしたり、物を壊したりして、冷静な話し合いが通じないタイプの男性は、自分をコントロールできていません。その光景がそのまま家庭で再現される可能性大です。



前回の記事に書いた、取り憑かれたようなギラギラ婚活がむなしくなったのは、私の望む家庭像と、ギラギラ婚活との間に整合性が見出せなくなったのも一因です。
履歴書に書けるような条件、条件であさましく相手を選んで、果たしてお互いに「人間としての尊厳を認める」関係が築けるのか……?私の出した答えは否でした。

婚活からの離脱を経て、
上記の注意点と、内面の相性ーー価値観がすりあわせられるか、互いへの尊敬の念と愛情はゆるぎないか、一緒にいて自己肯定感が高まるか、のびのび本音がいえるかーーを慎重に吟味しながら、ありふれた恋愛してをして結婚しました。
結婚したとき夫と約束したことは、「本音で話すこと。」「何事も我慢しないこと。」
お互いに、モラハラの加害者にも被害者にもならないための約束です。


■夫婦間にモラハラの入り込む隙間をつくらない 

私が結婚して数年後、妹も結婚が決まりました。そのとき母は電話の向こうで、「うちの娘達は、お父さんあんな感じなのに、本当にやさしい旦那さんを見つけてくるねえ。よかったわ。」と笑っていました。娘としては切ない笑いです。


結婚5年目、今のところ我が家にはモラハラの影は見当たりません。
でもこれから40年、50年連れ添うなかで(連れ添えれば)、少しずつ関係性が変質してしまうことだって、ありえます。
良い変質ならウェルカム。むしろ柔軟で素晴らしい。
でも、モラハラに少しでも繋がりそうな兆候を嗅ぎ取ったら、芽になる前に引っこ抜くと決めています。

つい先日、夫の発言で初めて少し「えっ?」と思うことがあったので、納得行くまでとことん本音で話し合いました。そこで飲み込んではダメなのです。「私が我慢すれば……。」のモラハラ引き寄せマインドが育ってしまう。
あくまでも穏やかに、でも本音で話し合う。主張するべきことは主張する。
それができるはずの相手を選んだんだから。自信を持つことも、大切なモラハラ除けです。

■最後に

モラハラ家庭に育ってしまい恋愛や結婚で悩んでいる人がいたら、「大丈夫だよ」と言いたい。「自分は人格を愛されるに値する人間だ」と信じて(もちろんそのための研鑽は必要)、注意深く相手を選べば、親と同じことにはなりません。客観的に見てくれる友達を大切にする、そして交際相手が「変だ」と思ったら、情にひきずられず即逃げる。

「モラハラの連鎖は断ち切れる」ということを、人生をもって証明する所存です。




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忙しすぎる夫
私の夫は「リアル9時5時(朝)」といわれる業界で働いている。
午前中から働き始め、夜中タクシーで帰宅し、また朝まで自宅で仕事する。そんな生活を揶揄した言葉だ。
結婚して以来、平日に顔を会わせるのはせいぜい15分、という生活がほとんどだ。
週末も半分くらいの時間は仕事に費やしている。

もちろん、夫はその状況を承知の上で就職しているし、職業自体は、夫が長年努力して努力してやっと就いた職業だ。
そんな夢を実現した夫のことが誇らしくもあるし、尊敬もしているし、全力で応援している。

けれど、妻としては夫の心身が心配だ。

時々疲労がピークを越すと「やめたい…疲れた…」というので、
「職場を移れば?」というと
「路頭に迷う…」と言う。

いや、たしかにずっと無職だと私の収入じゃまるで足らないけど、何も今ほど働かなくてもいいよ!?そりゃ多少収入は減るけど…
自分で「十分やった」って納得したならやめたらいいよ。
と繰り返すのだが、いっこうにやめる気配はない。

年次があがって中堅になれば楽になるかと思いきや、一層仕事がふってきているようだ。もう最近は本人も家族も訳がわからなくなるくらい忙しい。



弱い妻
一方私は、体調が安定しない妻である。
命にかかわる病気ではないが持病があり、ときに生活に支障がでたり、行動が制約されたりすることがあり、悪い時期にはいると家事もままならず、実質的に一人での生活が難しいこともある。(本当に最悪の時だけですが)

そうなると、双方実家は遠方で近くに親族もいないので、家の中のことはまわらなくなるし、何より私が静養できる環境がととのわない。悩んで悩んだすえ、数年前にはしばらく実家で療養させてもらったこともあった。
そのときのことを思うと、夫に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

私みたいな妻と結婚することはなかったんじゃないか、
別の女性と結婚すればもっと不自由しなかったんじゃないか。

自分のせいで、自分が愛する人の人生がダメになるのが怖い。離れた方がいいんじゃないか。

でもその思いを決死の覚悟で口にする度に、
「それも込みでゆりを選んだんだ。それで結婚したんだから、ゆりは存在してればいいんだよ。」
と泣きじゃくる妻に夫はいう。

その言葉を体現するかのように、夫は転職を考えたことがあった。今よりもワークライフバランスがとれて、妻と共に家にいられることを求めて。
具体的な話もいくつか来ていた。

ありがたいことこのうえない話である。「仕事したいのに妻が邪魔」ではなく、「妻のために仕事先を変える」という選択肢をとろうとしてくれた。
心底感動したが、実現にはいたらなかった。もちろん、条件面の事情もあるが、夫のこの先のキャリアを考えたとき、私は自分のせいで本人が納得してない方向転換をさせるのは嫌だったのだ。

「あなたが納得するまでいまの職場でたたかって、自分でここぞと思うときに動いてほしい」
そう伝えた。


そのためにも、私もしっかりしなくてはいけない。
評判のよい病院をさがし、食生活や体のケアに気を配っている。よい主治医に恵まれたお陰かここ数年は長期間療養を必要とすることもなく、時季によって波はあれど、なんとか東京での生活をほそぼそとまわせる程度には保てている。



二人の綱渡りと、大切な約束
とはいえ、
我が家の暮らしに、たぶんに綱渡りの要素があるのは否めない。これまでも、おそらくこれからも。
でも、その綱はきっと最初は絹糸みたいに細くて今にもちぎれそうなものだったかもしれないけれど、年月を経るごとに撚りあわされて確実に太く強くなってきていると思う。綱引きの綱くらいにはなっている。もしくはひょっとすると、単によりあわせるのではなく、名曲『糸』にあるように、夫の縦糸と私の横糸が織られていて、この先織り成す布が強く暖かく自分達を包んでくれるかもしれない


未来を予測することはできないが、ただただ力を合わせて1日1日過ごしていくのみだ


ただし、約束していることがある。
いくら「納得できたらワークライフバランスとれるとこに移ったらいいんだよ!」と妻が繰り返し言っていても、やっぱり大黒柱の責任感はずっしりくるんだろうと思う。過酷な状況で踏ん張ってくれてありがたいと感謝している。
でも、無理がたたって突然倒れるのがほんとに怖い。実際に倒れて辞めていった人も存在する。

真剣に体と神経がヤバイと思ったら粘らない。そうなったら納得とか関係ない。こじらせる前に絶対やめる!
妻が夫に絶対守ってと口を酸っぱくしている約束である

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夫はとにかく仕事が忙しく、平日は深夜にタクシー帰り、土日もほぼ毎週出勤または在宅仕事です。
今日も昼から職場に向かい、夕方家の最寄り駅で待ち合わせて二人で夕食の買い出しにいくことに。(私のささやかな楽しみ)

そのスーパーからの帰り道、
「なんかね、さっきTwitterでみたんだけど、女性は28-29歳がすごくモテて、30歳になるともっとモテるんだって。それで人妻になるとさらにモテるらしいよ!私30歳の人妻なんだけどなぁ…」
とぼやいたら、

「もててるやん!だって、俺がゆりのこと好きで、その俺が365日一緒にいるんやから、それはもててるってことになるんじゃないの?俺一人でかなりの人数分のパワーやぞ!」

と言われて、おぉそうくるかと。
多分Twitterに書かれてたのはそういうことじゃないけど(笑)
夫の言うこともわかります。

7月は、結婚披露宴をした思い出の月。3年前の7月に、ウェディングドレスを着ました。
挙式は家族だけでその半年ほど前にすませたので、挙式・入籍からはあと数ヵ月で4年経ちます。

まだまだ歴史の浅い夫婦ではありますが、4年はひとりの異性に飽きるにはおそらく十分な長さ。その月日を経てもなお、そんな風にいってくれる夫の気持ちが、じんわり嬉しくて心に染みてちょっと一人でこっそりニヤニヤしました。

今夜の献立は
鶏肉とキノコと野菜のトマト煮込み
ゆでブロッコリー
豆腐と納豆とアボカドのサラダ
さつまいもと大根ときのことワカメの味噌汁

和なのか洋なのかどういう取り合わせなのかさっぱりわからん謎の献立と思われるでしょうが、どれも夫の好物でリクエストなのです(^-^;
気分よく、栄養バランスよく好物を食べてもらうのも、激務の夫にしてあげられる妻のささやかな愛情表現かなと。ちなみに私が料理をしている間も、夫は背後で英語と格闘しています。(ほんとお疲れ様…)                                                               
食後は桃を食べながら、ぼーっとテレビをみる。束の間のリラックスタイム。特別なことは何もないけど老夫婦のようなまったり感で隣に好きな人がいるのは悪くないです。
不特定多数にモテない30歳人妻でも、まぁいいかな。

明日からも、お互い元気に平日を過ごせますように。


※ちなみに、私が読んだtweetは、近著『 ぼくは愛を証明しようと思う』が話題の藤沢数希さんのものです。
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